りんご apple(英)pomme(仏)apfel(独)mela(伊)
1日1個のリンゴは医者を遠ざけるという諺があるほどの栄養
トルコで約8000年前の炭化したリンゴが発見されている。スイスでは遺跡から約4000年前のリンゴの化石が見つかっており、その時点で既にリンゴは栽培されていたとする研究がある。16 - 17世紀頃になるとヨーロッパでリンゴの栽培が盛んになり、17世紀前半にはヨーロッパからアメリカへ持ち込まれ、現在では世界中の寒冷地でリンゴが栽培されている。
日本へは中国から最初に持ち込まれ「和りんご」などと呼ばれていたが、西洋から西洋リンゴが持ち込まれると日本でも西洋リンゴの方が一般的になった。現在、和リンゴは長野県上水内郡飯綱町で一軒の農家が栽培してその姿を伝えている[1]。和リンゴの実は、大きさ直径3 - 4センチ、重さは30グラムぐらい。熟すると赤くなり、収穫適期はお盆前である。
中国の書物『本草綱目』に「林檎一名来禽言味甘熟則来禽也。」(林檎(りんきん)の果は味が甘く能く多くの禽(鳥の意)をその林に来らしむ。故、来禽(らいきん)の別名がある)との記述がある。
平安時代中頃の書物『和名類聚抄』には「利宇古宇(りうこう、りうごう)」としてリンゴが記述されており、これが訛って「りんご」になったと考えられている。
木から落ちるリンゴを見てアイザック・ニュートンが万有引力の法則に気づいたという話は有名だが、この話はヴォルテールが伝えたもので、史実ではない。このリンゴの木は枯れてしまったが、接木をして増やした二世代以降の木は世界各地で今も栽培されている。ニュートンのリンゴは「ケントの花(華)」といい、生食用ではなく料理用である。味は渋みと酸味が強いが、追熟させると甘く、酸の効いたいい味になるという。
1964年3月、イギリス物理学研究所より日本学士院に対してニュートンのリンゴの苗が寄贈されたが、防疫検査により、この苗木はすでに高接病ウイルスに汚染されていることが発覚。一時は焼却処分が検討されたが、学術上貴重なものであること等から例外的に東京大学理学部附属小石川植物園に隔離され、ウイルス除去の研究対象となった。1980年、ようやくこの木からウイルスに汚染されていない接ぎ穂の切り出しに成功。これ以降、ニュートンのリンゴは国内各地に移植されている。
一般には、旧約聖書に登場するアダムとイヴが、蛇にそそのかされて食べた善悪を知る果実がリンゴだということになっている。またアダムはリンゴをのどにつまらせたことで、のどぼとけができたとも。しかし、当時の中近東にはリンゴはなく、イチジクだったのではないかという説がある。その根拠の一つは知恵の実を食べて恥を知った彼等が下腹部を隠した葉がイチジクだったからだ。
眠気覚ましにコーヒーに含まれるカフェインが有効であるのは知られているが、リンゴを丸のままひとかじりするほうが即効性がある。
和文通話表で、「り」を送る際に「リンゴのリ」という。
リンゴに含まれるリンゴポリフェノールには脂肪の蓄積を抑制する効果があることが、アサヒビールと弘前大学の研究者グループによるラットを使った実験により明らかになった。