山菜
春の味です。
読んで字のごとく山菜とは野山に自生している植物を食用に採取したもののことを言います。平安時代の貴族たちは春になると今で言うピクニックに当たる、山菜摘みにでかけ、それをあてに宴を開いたそうです。
逆に庶民にとっては生きていくための手段であり、生活に密着したものでした。主に女性の仕事であったようです。
山菜は、季節の細やかな移りかわりを都会にとどけてくれるもの。
山里の人々には春いちばんに出てくる自然のめぐみとして大事にされています。
しかし、最近は季節をこえた栽培方法が盛んになり、一足先に春を演出することができるようになりました。
市場での最盛期は山里の春よりも早くやってきます。
「山うど」は3月の中・下旬がピーク。
野生のものは4〜5月のごく一時期に出回ります。
「たらの芽」はほとんどが栽培もので、3月のひと月がピーク。
「こごみ」もほとんど栽培ものです。
山菜の王様「わらび」はどうでしょう。
暮れからお正月は、促成栽培による、ごく小さくて形のいいものが料亭向きに、3月は栽培ものが最盛期です。わらびとりに山に入るのは4〜6月ごろですから、わたしたちの食卓にはずいぶん早くから春がやってきます。
それでも山菜の出荷は、春の訪れが早い年、遅い年でずいぶん差があります。